TITLE : NICKELMAN / COFFEEPOT TAPES
PRICE : 1500YEN
NO : DCR-TP-12
【DCR STORE限定】
FREEDOWNLORD CARD付き
LIMITED "50"
"COFFEE"と"POT"をテーマに制作された今作。
荒々しくも温もりのあるレトロな音響が空間に広がる極上のまどろ みMUSIC。
ゆっくりとしたテンポで進んで行く夢心地なストーリーを楽しんで みてください。
【Review】
-苦味の中にグラデーションがあるように-
コーヒーを飲みながら音を聞き流すだけではなく、 コーヒーの旨味を抽出するかのよう音楽の旨味を味わう。
18世紀から19世紀にかけて音楽界の異端者とも称される作曲家 がいた。
エリック・サティだ。
フランスに生まれた彼は革新的な当時タブーであった「 生活に溶け込む音楽」 という思想を掲げていくつもの素晴らしい音楽を作曲した。
同時代、パリに芸術家が集う音楽喫茶があった。黒猫( シャノワール)という。
そこにはドビュッシーなどの音楽家は勿論、 若かりしピカソなど新進気鋭の画家や詩人や文学者などの様々な分 野の芸術家が集い、 芸術文化の発信拠点として後世に残る様々な芸術の可能性を育てた 。
その異端者達の中心にいたのがエリック・サティ、彼である。
ヒップホップとクラシックは背景的にも音楽的にも結びつかないこ とが多い。 しかしNICKELMANのこのテープを聴いていると当時のパリ の事柄がいくつもの伏線として思えてならない。
現代における「黒猫(シャノワール)」 がもし日本の何処かに存在するのならば、 きっとNICKELMANや様々な芸術家達が集い、 そして後ろには何食わぬ顔でこのテープが流れているのではないか と想像する。
作り手の手元を離れていく音楽は当事者の意図とは裏腹に素晴らし い輝きを放つ。
「生活に溶け込む音楽」 という思想のもとに創られたサティの曲達が時代と共にその意図か ら手離れして一つの世界をこちらに提示してくれるように、 姿はそのままの全く異なる新しい解釈のできるものこそ、 二分化してしまいがちの客観と主観の本来の在り方を示唆してくれ るものになるだろう。
サティが自分の音楽を「家具の音楽」 と称したようにNICKELMANはこのビートテープをコーヒー ポットテープスと名付けている。
しかし、 サティの音楽が家具の音楽に留まらなかったように又彼の音楽は対 象物のための音楽に留まらない。
それは、 サティがそうであったように作り手の意図とは反して音楽の解釈と もいえるべきものが聞くものに手渡され、聞く時代、聞く年齢、 聞く環境によって様々な表情を見せてくれる。
その自らと共に新たな聞こえ方をするものこそ「 飽きのこない味わい」であり「時代と自己のソムリエ」 になりうる代物なのではないだろうか。
コーヒーを飲むとき、 我々は日常に我儘な穴を開ける時なのかも知れない。
ヨハン・オーカタ(写真家)
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